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65 お姉ちゃんだらけ(そのいち) [sage] 2010/01/24(日) 19 50 11 ID seQT5t6gO 扉を開けると、そこには5人のお姉ちゃんがいた―― 憂「お姉ちゃん、そろそろ起き……きゃああ!?」 唯1号「おはよう憂!」 唯2号「憂、おはよー」 憂「お、お姉ちゃんが二人!?」 唯3号「二人だけじゃないよ!」 唯4号「私もいるよー♪」 唯5号「私を忘れちゃダメだよ!」 憂「ちょ、こ、これどういうことなの…!?」 唯1号「いやぁ、なんか起きたら分裂しちゃっててー♪ 憂「な、なんか!?」 唯2号「これで私も音楽の極みに立ったってことだね!」 憂「え、音楽の極みに立った人って分裂するものなの?…きゃっ」 唯3号「ういー、今日はお休みだしのんびりしようよー」ギュー 憂「ちょ、お姉ちゃ……」 唯4号「あ、ずるいよー私も!」ギューッ 唯5号「私もー!」ギュッ 憂「うぅ…?」 この状況、なんだかよくわからないけど…とりあえず、分裂したお姉ちゃんもあったかくて気持ちいい…♪ 唯1号「ういーお腹減ったー」 唯2号「朝ご飯にしようよー」 憂「あ、うん!じゃあお姉ちゃん、ご飯にしよう!」 唯1、2、3、4、5号「はーい!」 憂「ス、ステレオ…」 66 お姉ちゃんだらけ(そのに) [sage] 2010/01/24(日) 19 52 56 ID seQT5t6gO こんにちは、平沢憂です。突然ですがお姉ちゃんが分裂しました。 唯1号「憂ージャム取ってー」 唯2号「憂ーマーガリンどこー?」 唯3号「憂ー牛乳がないよー?」 憂「ま、待ってお姉ちゃんたち、落ち着いて…」 唯4号「ちょっと5号!そのベーコンエッグ私のだよ!」 唯5号「私のだもーん♪憂がお姉ちゃんにあげるってくれたんだから!」 唯6号「それは私のことを言ったんだよ!ね、憂?」 憂「え、えーっと…私が言ったお姉ちゃんっていうのはそのお姉ちゃんじゃなくって違うお姉ちゃんっていうか…あ、あれ?」 唯4号「お姉ちゃんは私のことー!」 唯5号「私だよ!」 唯6号「私ー!」 憂「だ、ダメだよお姉ちゃん自分とケンカしちゃ…わっ?」 唯1号「ういー、私と一緒にテレビ見よ?」 唯2号「あーずるい1号!私と見るの!」 唯3号「私とだよ!」 憂「ちょ、ちょっとお姉ちゃん…わかった、皆で一緒に見よう!ね?」 唯1、2、3、4、5、6号「はーい!」 憂「…えへへ……皆いいこ…♪」 5人のお姉ちゃんと過ごすのは、普段の5倍体力を消耗します。 ですが…同時にお姉ちゃんと過ごす幸せも5倍になるのです! …5? 85 お姉ちゃんだらけ(そのさん) [sage] 2010/01/27(水) 03 21 08 ID BKHRjECyO こんにちは、平沢憂です。分裂したお姉ちゃんたちとの生活にも少しずつ慣れてきました。 ところで一つ気付いたことがあります。実はお姉ちゃんたちは一人一人性格が違うんです。 唯1号「うーいー♪一緒にアイスたーべよー♪」ギュッ 憂「ダメだよ1号お姉ちゃん、さっき食べたでしょ?」 唯1号「えー?いいでしょ~うーいー♪」 憂「く、苦しいよー…♪」 1号お姉ちゃんは甘えんぼですぐに抱きついてきます。 もしかすると分裂する前のお姉ちゃんに一番近いかもしれません。 唯2号「……」ジー 憂「どうしたの2号お姉ちゃん?顔になにかついてる?」 唯2号「べ、別に…なんでもない」 唯3号「2号も憂にくっつきたいんだよねー?」 唯2号「そ…そんなわけないじゃん!私もう高校生だし、いつまでも妹にべたべたするとかあり得ないし!」 唯3号「じゃあ2号は憂にくっつくの禁止ね♪ういー♪」ギュッ 憂「きゃっ?」 唯2号「な…なんで3号が決めるの?意味わかんない!」 唯3号「だってべたべたするのあり得ないんでしょー?だったら文句ないよね♪」 唯2号「あ、あり得ないって言ったのはあくまで程度の問題で…」 唯3号「じゃあ抱きつきたいんだ?」 唯2号「う……」 86 お姉ちゃんだらけ(そのよん) [sage] 2010/01/27(水) 03 26 26 ID BKHRjECyO 唯2号「グス……ういー」 おずおずと服の裾を掴む2号お姉ちゃんは意地っ張りです。なんだかケンカした時のお姉ちゃんみたいでかわいいです♪ そして3号お姉ちゃんは少し意地悪です。かわいいだけにギャップがすごいです! 憂「ふふ…♪あ、ごめんね皆、私そろそろご飯の準備しなくちゃだから…」 唯4号「あ、憂ー♪ちょうどよかった、ご飯の準備ならお着替えしなくちゃだね!」 憂「ひゃっ!?よ、4号お姉ちゃ…なんでメイド服があるの!?」 唯4号「前に着たやつ、さわちゃんが持っていっていいっていうから♪どれ、お姉ちゃんが着替えさせてあげるー!」ガサゴソ 憂「きゃあぁ!」 4号お姉ちゃんは少し…いや、かなりスキンシップが過激です。さわ子先生みたいです。 正直、こんな風に体を無理矢理触られるのはかなり嬉し…じゃなかった、かなり困ってしまいます! 唯4号「憂のおっぱいぷにぷに~♪お尻やわらかくって気持ちいい♪」スリスリ 憂「や、やめてぇー♪」 唯1号「憂、なんで嬉しそうなのかな…?」 唯2号「さぁ…」 唯3号「…あんまりおっきいと将来垂れるよ(ボソッ」 90 お姉ちゃんだらけ(そのご) [sage] 2010/01/27(水) 23 59 06 ID BKHRjECyO 4号お姉ちゃんからなんとか逃れた私は夕飯の準備をするべく台所にやってきました。が… 憂「あれ、なんかカレーの匂いがする…?」 唯5号「あ、憂!ちょっと味見してみてー♪」 憂「5号お姉ちゃん!これお姉ちゃんが作ったの!?」 唯5号「うん!まぁ食べて食べてー」 憂「い、いただきます……パク」 唯5号「どう、美味しい?」 憂「お…おいしい…」 お姉ちゃんのことだから、隠し味に甘いものをどっさり入れたりしたんじゃないかと思ったけど…私が作るのよりおいしい! 憂「5号お姉ちゃん、こんなにおいしいの作れるなんてすごいね!」 唯5号「いやあ大したことないよー♪そだ、ついでにトンカツも揚げてカツカレーにしてみたよ!」 見ると、こんがり黄金色のトンカツが!そうです、5号お姉ちゃんは料理がものすごく上手いのです! 憂「でもこんなに揚げるの大変だったでしょ?」 唯5号「ううん、こんなの憂が料理してくれてるのに比べたら全然大したことないよ!」 憂「お姉ちゃん…」 唯5号「私だってたまにはお姉ちゃんらしいとこ見せなきゃだもん。何か悩みとかあったらいつでも相談してね?私たちはいつでも憂の味方だから」 憂「うん…ありがとう!」 91 お姉ちゃんだらけ(そのろく) [sage] 2010/01/27(水) 23 59 56 ID BKHRjECyO お姉ちゃんは、やっぱり優しくてあったかいです。 たとえ分裂して性格や言動が変わっても、お姉ちゃんはお姉ちゃん。一番大切な芯の部分は何も変わっていません。 でも5号お姉ちゃんはほんのちょっぴりだけ、他のお姉ちゃんよりも頼りになる…かもしれないです。 唯5号「それじゃ、皆呼んでご飯にしよ…あーーーー!」 憂「ど、どしたの!?」 唯5号「ういー…炊飯器のコンセント入ってなかった……」 憂「あらら…」 …やっぱりお姉ちゃんはお姉ちゃんです。 102 お姉ちゃんだらけ(そのなな) [sage] 2010/01/29(金) 03 47 47 ID zQ9XronZO ご飯も炊いて皆でカレーを食べていると、6号お姉ちゃんがこんなことを言い出しました。 唯6号「ところで、お風呂は当然皆で入るんだよね?せっかく大人数なんだし!」 憂「え!?」 唯1号「さんせー♪皆で入ったら楽しいよね!」 唯2号「ま、まぁどうしてもっていうなら一緒に入ってもいいけど…」 唯3号「わぁ楽しみ♪皆で入れば自分の体を客観的に見られるね!そして改めて気付くんだよ、自分の体の貧相さに!」 唯4号「ジュルリ…8P…ど、どうしよう、憂がおかしくなっちゃうかも…でも大丈夫、私が手取り足取り教えてあげるから♪」 唯5号「…4号ちゃん、さすがに自重しようね」 皆は色んなことを言っていますが、かくいう私はといえば嬉しさ半分不安半分といったところでした。 お姉ちゃんと久しぶりに一緒にお風呂に入れるのはもちろん嬉しいです。 でもこの個性派揃いの皆と入ったら何が起こるか…色々な意味で個性の強い6号お姉ちゃんの提案というのも不安です。ていうか… 憂「あ、あのー…こんな大人数でお風呂入るのは無理じゃないかな…?」 一同「……」 なんということでしょう。皆そのことをまったく考えていませんでした。 やっぱり、お姉ちゃんはお姉ちゃんです… 103 お姉ちゃんだらけ(そのはち) [sage] 2010/01/29(金) 03 50 11 ID zQ9XronZO 唯1号「考えてみたらそうだね…家のお風呂じゃせいぜい3人がいいとこだよー」 唯5号「よし、ここは公平にあみだくじで決めよう!私、今から作ってくるね!」 あみだくじを作りに部屋に戻った5号お姉ちゃん。 皆のために率先して動くなんて、やっぱりしっかり者なんだなぁ♪まだ食事の途中だけど… 唯6号「5号ちゃんがいない間にじゃんけんで決めようかー♪」 憂「え!?」 唯3号「ちょうど偶数になったことだしね♪はい、二人一組にわかれて!」 憂「え、あの…5号お姉ちゃんは…?」 5号お姉ちゃん抜きで行われたじゃんけんの結果、私とお風呂に入ることになったのは6号お姉ちゃんと7号お姉ちゃんでした。 そういえば、7号お姉ちゃんとはまだあまりしゃべってないな… 憂「7号お姉ちゃん、よろしくね」 唯7号「うん…よろしくね」 7号お姉ちゃんはクールです。皆が騒いでる時にも我関せずという感じで窓の外を眺めていました。 髪を七三に分けているところがかっこかわいいです。色々話せたらいいんだけど… 唯6号「わーいわーい♪おっふろ、おっふろ、おっふっろー♪」 唯7号「……」 憂「じゃあお先に入ってくるね。5号お姉ちゃんによろしくね…」 104 お姉ちゃんだらけ(ざつだん) [sage] 2010/01/29(金) 03 58 33 ID zQ9XronZO 唯4号「はぁ…せっかく憂とあんなことやこんなことができると思ったんだけどなぁ」 唯3号「モグモグ…あんなことやこんなことって?」 唯2号「……」(…き、聞きたいわけじゃないけど耳に入っちゃうからしょうがないよね) 唯4号「そりゃあ、押し倒したり…」 唯1号「きゃー♪押し倒す!?」 唯4号「揉んだり…」 唯2号「揉む!?」 唯4号「舐めたり…」 唯1・2号「なな、舐めるぅ!?///」 唯3号「モグモグ…4号はえっちだねぇー♪あとはあとは?」 唯4号「あとは…」 ガチャ 唯5号「皆お待たせ!あみだ出来たよー♪いやぁ、意外に難しいもんだねあみだって…あれ?」 唯1号「あれ、5号ちゃんは不戦敗になったんだよ?」 唯5号「え…?ふ、ふせ…?え?」 唯3号「モグモグ…ゴクン。ごちそうさま5号、カレーおいしかったよー♪」 唯5号「あ、私のカレー…」 唯1号「まぁまぁ、洗い物手伝うから元気出しなよ5号ちゃん!」 唯4号「私だって行けなかったんだしさ♪…手伝ってあげるから後で憂の下着取ってきてね。あと体触らせて!自分の体だから文句ないよね♪」 唯5号「…澪ちゃんの気持ちがちょっとだけわかったよ」 つづく!
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70 姉さんとお姉ちゃん ◆Oq2hcdcEh6 sage 2007/09/27(木) 23 05 23 ID GL0iSCAk 投下します 今日、姉が死んだ。 旅行先の警察から電話がかかってきたのだ。 きっと火葬にする金を出せとか、手続きをする金を出せとか、そういう振り込め詐欺に違いないと思ったが、 警察を名乗る男の声の向こうから、泣き叫ぶ姉の友人の声が聞こえた。 そして泣き声で要領を得ない菜穂子さん――姉の友人との会話が、この電話が真実だと教えてくれた。 実感の無いまま、それどころか半信半疑でさまざまな手続きを済ませた。 自分でも驚くほど冷静だった。胸の奥の方に焦りがあったが、それだけだ。 泣くどころか手が震えることも無かった。 「こちらに来るときには、ご自分で車を運転するのは控えてください」と言われたが、 姉の荷物もあるのだからと思い、免許を取ったばかりだが、車で行った。 普通は運転どころではなくなるのだろうに、普段と変わらず運転できた。その落ち着きが不思議だった。 旅行先の病院にたどり着き、対面してもなお実感が沸かなかった。 遺体の状態が良くなかったためだろうか。 それを見ても、その傷だらけの体が姉だとは思えなかった。 あの泳ぎの得意な姉さんが、海で死ぬわけが無いと思っていた。 泣きながら俺に謝る菜穂子さんを気遣う余裕すらあった。 「波が」とか「ゴミが」とか、俺に事情を説明する菜穂子さんの言葉を聞きながら、 俺はずっと窓から海を見ていた。 多分、俺は、海から姉さんが上がってくるのを待っていた。 検死の結果、誰にも責任の無い事故だと証明され、お骨にして持ち帰ることにした。 「俺よりよほど長生きすると思っていたのにな」 助手席に置いた白い箱は、俺の頭の中でどうしても姉さんと繋がらなかった。 俺の助手席に乗ると、怖いだの、本気で運転してくれだの、騒がしかったのに。 今は時折揺れるだけだ。 家に帰ってきた俺は、そのまま眠ってしまった。 「ただいま」という言葉に返事があることは普段から少なかったが、これからは少ないどころではない。 暗い部屋に入った途端に気が滅入ってしまったのだ。 翌朝目が覚めても腹は減っていないし何かをする気にもならなかった。 でも悲しくはなかった。 姉が死んだのなら悲しむべきじゃないか、と思うと、なおさら悲しくなくなった。 あの時のせいで悲しみ方が解からなくなってしまったのだろうか。 そしてまた眠る。 ようやく悲しくなったのはその翌日、姉が死んで二日目の夜のことだ。 本当なら姉が帰ってくるはずだった日。 そろそろ腹が減ったので何か出前でも取ろうとメニューをしまった引き出しを開けると、 一番上に寿司の出前のメニューがあった。 「おなかいっぱいお寿司食べてくるね。お寿司は無理だけどお土産買ってくるからね」 そう言って出て行った姉さんの笑顔を思い出した途端、涙がこぼれた。 帰ってこなかった。姉さんは帰ってきてくれなかった。 どこかへ行ったまま、いなくなってしまった。 「どうして」 身も世もなく泣いた。 どうして、どうして、どうして。いくつもの疑問や怒りや後悔が一つに収束した。 どうしてぼくをひとりにしたの。 71 姉さんとお姉ちゃん ◆Oq2hcdcEh6 sage 2007/09/27(木) 23 08 13 ID GL0iSCAk 自分の泣き声で、菜穂子さんの泣き声を思い出した。 一番辛いのは多分俺じゃない。菜穂子さんだ。きっと責任を感じているだろう。 そして実際、どうして助けてくれなかったんだという思いもある。 俺は多分そう考えることで自分の悲しみを和らげたかったのだと思う。 だけど菜穂子さんは俺にとっても友人だ。 もし彼女が責任を感じて自殺でもしたら、そう考えると恐ろしくなる。 俺はそちらのことまで悲しまなければならないのか、と。 こんな時でも自分のことを考えている自分がいやになって、涙が止まった。 (でもそうだ、考える事がある・・・) そう気付いた途端に、現実がのしかかってくる。 姉さんの会社や友人への報告、保険の確認、様々な契約や銀行口座の解約、そして葬式。 山積みだ。 俺はあえて声を出してみた。 「泣いていないでこれからのことを考えなくちゃ」 失った物にばかり目を向けているとろくなことが無い。 それは父さんが死んだときの我が家を見て知っていた。 母さんは父さんのことを思って悲しんでばかりで、姉さんはその分しっかりしなければならず、 数年後ついに俺も姉さんも精神的に追い詰められてしまった。 だが、母さんがある日失踪してからは、姉さんも俺も生まれ変わった。 新しく家庭を作り直したのだ。失った物たちを忘れて。 それを、今度は俺が一人でやらなければならない。 辛いことだが、そうしなければならない。 そう決めて、俺は泣くのを自分に禁じた。 そのように出来る能力はあの頃からあったのだ。 それの為に、今回も泣き損ねたのかもしれないが、今後のことを考えればそれで良いのかもしれない。 決意すると行動は早かった。 まずは俺の学校に事情説明をしてしばらく休む事を告げ、 それからやるべきことを思いつくまま箇条書きにし、一つずつ片付けていった。 唯一の親戚である父方の祖母が心配して、その家を出てこっちに来るようにと言ってきたが、断った。 祖母にはずっとお世話になっていたし仲も良いから遠慮することは無いのだが、 将来的にそうする可能性はあるけれど今この家を出たら、姉さんを忘れられなくなる。 そう言うと祖母は悲しそうに「忘れる必要なんて無いと思うけどね」と呟いた。 一日おきにご飯を作りに来てくれたので、食べたいときに好きに食べることが出来て、これは助かった。 自分で作っても良かったが、作るほどの食欲はなかったし、 それに今は、姉さんの味になるのがイヤだったのだ。 葬式はごく小さなものにした。菜穂子さんに聞いて姉と特に親しかった友人だけを呼んだのだ。 お金の問題もあるし、大勢に気の毒がられるのは耐えがたかった。 お決まりの言葉をかけられることが、どうしても嘘に思えて辛かったのだ。 「負けないで」「前向きに」という言葉が、作り物めいた言葉に思えてしまうのだ。 電話をしたとき担任に言われたその言葉が俺には不快だった。 姉さんの友人たちは、泣きながら、あるいは涙をこらえながら俺を元気付けようとしてくれた。 うれしいとは思わなかったが、不快ではなかった。 高校生の俺でも、様々な手続きは問題なく出来た。 手間取ると思っていたが、事情を話すと、色々便宜を図ってくれたようだった。 仕事とは言え世の中には親切な人が多いようだ。 一週間ほどで、ほぼ全て片付いた。 72 姉さんとお姉ちゃん ◆Oq2hcdcEh6 sage 2007/09/27(木) 23 10 39 ID GL0iSCAk その全て終わった日の夜、俺は自分の家で菜穂子さんと一緒に夕飯を作っていた。 菜穂子さんは姉の中学からの親友でよく家に遊びに来ていたから、俺とも仲が良かったのだ。 この一週間、本当に世話になった。 何よりありがたかったのは、いつまでも泣いていなかったことだ。 俺が何をしようとしているのかすぐに察知し、少なくとも俺の前では泣かなかった。 姉さんの遺品を片付けているときに、何度も部屋を途中で出て行ったが、 帰ってくるときには何事も無かったかのように振舞っていた。 菜穂子さんに泣かれていたら俺もきっと泣いていただろう。 今日は祖母が来ていないので、カップ麺でも食べようかと思ったが、菜穂子さんが作ると言い出したのだ。 断る理由も無いから、一緒に買い物をして料理を作ることにした。 それに自分に対する踏み絵の意味もあった。 姉さんと一緒に料理を作ったことを思いだして泣くような事がないかどうか試したかった。 結論から言うと、俺も菜穂子さんも泣きはしなかった。 だが、俺は意識的に姉さんの好物をメニューから避けた。 今、姉さんの好物だったものを食べたら、これまでの我慢が決壊するだろうから。 姉さんが自分では作れずいつも俺に作らせていた煮物と揚げ物を避け、 さらに寿司を思い出す魚も避けた。 しかしなるべく多くの種類を作った。食べている間は菜穂子さんが帰らないからだ。 結局、やるべきことを終えた後の時間に耐えられるかどうかは未だ自身が無かったのだ。 食事を始めるとちょうど良く面白い番組がやっていたために、 間が空いて困ることもなかったし、テレビや会話で笑うこともあった。 食べ終わり、後片付けも食後のお茶も終わった頃には午後十時を回っていた。 「ああ、もうこんな時間」 菜穂子さんが気付いて驚いたような声を上げた。 「ほんとだ。じゃあ、そろそろ・・・」 「う、うん」 菜穂子さんが立ち上がる。しかし動かない。 「あ、あのね、コウ君」と俺の名を呼ぶ。 「ん?」 菜穂子さんは背が低い。その菜穂子さんが少しうつむき加減になり、上目遣いに俺を見ている。 「コウ君の考えてること、わかるよ。まなちゃんのことを忘れようって。でしょ?」 「う、うん」 「でも、いいの?そうしたら、コウ君ひとりぼっちじゃない」 「そんなの・・・いや、どっちにしたって独りだよ」 菜穂子さんの言いたいことがわからない。 「そうじゃなくて、お姉ちゃんがいたことも無かったことにして、いいの?」 「・・・」 「まなちゃんのこと、本当に忘れられる?忘れたい?」 「でも、忘れなきゃあ」 菜穂子さんが一歩近づいてくる。 「忘れないと辛いって言うんでしょ?でも、忘れるのだって辛いはずだよ」 「わ、忘れて、一人に慣れれば」 「無理だよ、独りぼっちに慣れるなんて」 俺の目をまっすぐ見すえた菜穂子さんの顔がにじんでいた。 「やめてよ・・・せっかく、俺が」 せっかく悲しくない振りには慣れてきたのに・・・。 「悲しいんでしょ?寂しいんでしょ?」 嗚咽をかみ殺すことが出来ない。のどから声が漏れてしまった。 菜穂子さんが手を伸ばして指で俺の涙をぬぐった。そのまま両手で俺の顔を挟む。 「私が、お姉ちゃんになってあげる」 73 姉さんとお姉ちゃん ◆Oq2hcdcEh6 sage 2007/09/27(木) 23 13 32 ID GL0iSCAk 「えぇ?」 「そうすれば、まなちゃんのことも忘れなくていいし、寂しくもないよ」 「何を・・・」 「これからは私がお姉ちゃんになってコウ君のそばにいてあげるから」 「そ、そんな事してもらわなくたって」 「だって泣いてるじゃない。お姉ちゃんがいなくて寂しいんでしょ」 「違、俺は」 「ねえコウ君、私の弟になろう?」 「・・・」 「私がお姉ちゃんになって、コウ君と一緒にいてあげる」 「む、無理だよそんなの」 何を言っているんだ?菜穂子さん。 「無理じゃないよ。まなちゃんには負けるけど、コウ君のことならよく知ってるよ。 それにまなちゃんにも負けないくらいコウ君のこと大事に思ってる」 菜穂子さんの手に引かれて俺の頭が下がり、菜穂子さんの胸に収まった。 「もう悲しまないでいいんだよ、お姉ちゃんはここにいるんだから」 「は、離して」 「だめ、お姉ちゃんから離れないの」 頭が混乱する。 なんでこんな事をされてるんだ? 「ね、コウ君。コウ君は私の弟だよ」 「俺は、独りで」 「違うよ、お姉ちゃんがいるでしょ。菜穂子お姉ちゃんだよ」 あれ? 「菜穂子お姉ちゃんだよ」 姉さんが死んだと電話が来たときの現実感の無さが蘇る。 「お姉ちゃんはここにいるよ」 そうだっけ。 「何も心配しないで、全部忘れて、お姉ちゃんのことだけ考えて」 姉さん・・・お姉ちゃん? いつの間にか俺と菜穂子さんは床に座り込んでいた。 「お姉ちゃんがずっとコウ君を抱きしめててあげるからね」 頭を撫でてくれる手が気持ちいい。昔姉さんにこうされたことを思い出した。姉さん。 「あれ、でも」 「私がお姉ちゃんだよ」 そうだったかな。 「ねえコウ君。私がお姉ちゃんだから、こうしてるんだよ。そうでなければこんな風にしないでしょ?」 そうなのかな。 「お姉ちゃんが、コウ君から離れるわけないでしょ?そうでしょ?」 ますます強く頭を抱きしめられた。息苦しいが、嫌ではなかった。 「本当にお姉ちゃんなら、コウ君を置いてどこかに行くわけないってわかるでしょ?」 そうだ。 姉さんは帰ってこなかった。 ぼくをひとりにして。 「私はお姉ちゃんだから、コウ君を独りにしたりしないよ」 お姉ちゃんだから・・・? 「お姉ちゃんって呼んで?」 「・・・」 「コウ君のそばに居る私がお姉ちゃんだってわかるでしょ?」 そうか・・・。 お姉ちゃんが僕の頭を離して、すぐ近くに顔を寄せた。 「ね、コウ君」 「お、おねえ・・・」 「だめえええええええっ!!」 真上から耳を劈くほどの大声が轟いた。 見上げたそこには、天井、を体の向こう側に透けさせた・・・ 「まなちゃんっ!?」 「姉さん・・・」
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308 名無しさん@お腹いっぱい。 [sage] 2009/09/28(月) 03 30 37 ID k1x1aAeX 憂「ねぇ、お姉ちゃん」 唯「なあに憂?」 憂「私ね?お姉ちゃんのこと大好き」 唯「うん、私も憂のこと大好きだよ」 憂「ホントに?」 唯「ホントだよ?私、世界一憂のことが好き!」 憂「梓ちゃんや律さんたちよりも?」 唯「みんなのことも大好きだけど…憂は特別、かな」 憂「えへへ、ありがとうお姉ちゃん…あのさ、一つお願いがあるんだけど…」 唯「お願い?」 憂「お姉ちゃん…私の、私だけのものになって?」 唯「え?」 憂「わがままだってわかってる。 いつかお姉ちゃんも誰か男の人を好きになって、お付き合いして、結婚するんだよね。 その邪魔は私にはできないし、しちゃいけない…けど」 唯「……」 憂「せめて形だけでも、嘘でもいいから…今だけでもいいから、私だけを好きでいて?」 唯「……」 憂「ごめんお姉ちゃん、私バカなこと言っちゃった…もう寝るね?おやす…」 ギュッ… 憂「……!」 309 名無しさん@お腹いっぱい。 [sage] 2009/09/28(月) 03 39 05 ID k1x1aAeX 唯「憂…私は最初から、憂だけのお姉ちゃんだよ?」 憂「お…おね…」 唯「だから…憂が甘えたい時はいつでも私に甘えていいんだよ?」 憂「お姉ちゃん…」 唯「私家事とかできないけど、それくらいは頑張れるから」 憂「うん…」 唯「だって私、憂のこと大好きだから」 憂「……!お姉ちゃん…」 唯「憂、もう一回、好きって言ってくれる?」 憂「そ、そんな…二回も言うの恥ずかしいよ…」 唯「言ってくれないんだぁ…」 憂「わ、わかったよ!私も、大好きだよお姉ちゃん!」 唯「えへへ、ありがと…ねぇ憂?」 憂「なに?」 唯「……チュー、してもいい?」 憂「……うん、しようか」 唯「ホントにありがとうね、憂♪」 憂「うん、こちらこ…っ…!」 チュッ… ――私のファーストキスの味は、とても柔らかくて、甘くて…幸せな味がしました。 ありがとう、お姉ちゃん。私は一生、お姉ちゃんのことを好きでい続けるからね。 END どうも真夜中に失礼しました。
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聡「姉ちゃん遅いな…部活があるとはいえそろそろ帰ってくる頃だと思うんだけど…」 唯「おじゃましまーす」 聡「ゆ、唯さん!?何でウチに!?てか姉ちゃんは…?」 唯「あ、今日私りっちゃんと一日入れ替わる事にしたんだぁ。りっちゃんが一度憂を妹にしたい!って言ってたから」 聡「そ、そんな無茶な理由で…って事はひょっとして…」 唯「うん!今日は私がりっちゃんの代わりに聡君のお姉ちゃんだよ」 食事時 唯「聡君も料理上手だね。どれも美味しいよぉ」 聡「あっ、どうも…大したものは無いですけど…」 唯「男の子なのにえらいよ。そんなえらい弟にお姉ちゃんがご褒美あげる♪」 聡「?」 唯「はいっ、あ~ん♪」 聡(ちょっ、これはどういうリアクションをすれば!?これはアレか、姉ちゃんが物陰からカメラでも構えてとか無いよな…?) 唯「あ~ん♪」 聡「(ま、まあ断るのも悪いし…)そ、それじゃお言葉に甘えて…」 唯「えへへ…これ一回やってみたかったんだぁ。聡君かわいいなぁ」 聡「……(は、恥ずかしい…)」 居間 唯「聡君、いいこいいこしてあげようか?」 聡「な、何ですか突然…?」 唯「いいから、おいでよ~。今日は私がお姉ちゃんだから、遠慮しないで甘えていいんだよ?」 聡「で、でもその…」 唯「えいっ」(聡を抱き寄せる) 聡「!!!」 唯「いいこいいこ~」 聡(あ、あったかくて気持ちいい…あと姉ちゃんより胸もちょっと大きくて柔らかくて…って何を考えてるんだ俺!!) 聡の部屋 聡「はぁ…今日は何か疲れたな…流石に風呂に入ってる時に唯さんが水着で入ってこようとした時は心臓が止まるかと思った…」 唯「聡君…」 聡「はい?って唯さんが何で俺の部屋に!!?」 唯「いやぁ何か眠れなくて…一緒に寝てもいいかな…?」 聡「い、いや…その…流石に一緒に寝るのはその…まずはお友達から始めないとそういうのは早い…って何言ってるんだ俺!?」 唯「嫌…?」(軽く涙目で上目遣いに見ながら) 聡「うっ……(ど、どうしよう…こんな顔されたらNOとは言えん…)」 唯「ダメかな…?」 聡「あ、その…どうぞ…」 唯「やったー!」 聡「あの…狭くないですか?」 唯「大丈夫だよ。それより聡君、もっとこっちおいでよ。」 聡「え、でも…あんまりくっつくとその…」 唯「いいからいいから♪弟の方から来てくれないならお姉ちゃんが抱き寄せちゃうぞ」 聡「いやそれは…」 唯「えいっ♪(聡を胸元に抱き寄せる)」 聡「あっ…」 唯「ふふふ…どう、気持ちいい?」 聡「えっと…その…あったかい…」 唯「でしょ?冬の寒い日は私も憂とこうやってるんだー」 聡「そうなんだ…唯さんの心臓の音…凄いドキドキ言ってるのが…」 唯「えへへ…りっちゃんはこういう事してくれたりする?」 聡「俺が小さい頃は時々…さすがに最近は無いけど…」 唯「今日は一杯甘えていいからね…聡君が寝るまでいい子いい子しててあげるよ」 聡「そ、それじゃ…お言葉に甘えて…」(唯にぐっと抱きつく) 唯「いいこいいこ…」 こうして田井中家の夜は更けていった……
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ふふふ、須賀咲ちゃんです……。 表紙を見て今年の夏は一人勝ち! と思いきや、タイトルが「でもんず」だったことやそもそも出番を他の三人に取られていたことなんて気にしてないもん……。 なんでダークホースの永水のおっぱいさんや末原さんが……ぐぬぬ。 あ、お姉ちゃん? 0と1の間には越えられない壁があるんだよ? 「ふぅ……」 「咲、どうしたの?」 「あ、お姉ちゃん。やっと子供が二人とも寝付いたところなの」 「子供……」 そう、私と京ちゃんの子供。 正直、子供には私と同じような思いはして欲しくないと思ってた。 麻雀で怒られたことや、夫婦別居になった話だとか、今でも怖い。 もし、私と京ちゃんで同じことが----- 「怖い?」 「ひゃぁ!?」 子供が起きるから我慢したけど、小さく悲鳴をあげちゃったよ! お姉ちゃんがいきなり抱きしめてきました。……当たる胸板は間違いなく私の姉。 「大丈夫。京ちゃんも、咲も、いい夫婦だから、ね?」 「おねえ……ちゃん」 子供が怖かった私に京ちゃんは約束してくれた。 絶対に私を一人にしないって、約束してくれた。 お父さんも、お母さんも、お姉ちゃんも、みんな一緒。 この子達は望まれて生まれてきたんだって、胸を張って言えるから。 「うん。自信を持って言えるよ。 私の妹はいい嫁さんで、私の義弟はいい旦那さんだって」 「お姉ちゃん……恥ずかしいよ……」 いつも寡黙なお姉ちゃんがたまーに、本当にたまーに! 真面目モードに入るときがある。 そういうときはいつもこうして抱きしめて頭を撫でてくれるんだ。えへへ 「だからたまに京ちゃん貸して」 「えっ」 ……そのあと、こう言うのもいつものことなのだ。 「お姉ちゃん……?」 「別に咲から京ちゃんを取ろうなんて思ってない。 ただたまに貸してくれればいい」 「貸すって、何する気!?」 「今回は、デート一回」 「うっ」 いつもはもっと直接的でエグいことばかり言うくせに……ぐぬぬ…… でもお姉ちゃんも子供達の面倒を見てくれたり……見てくれてたっけ……? ってこともあるし、今回みたいなこともあるし、……仕方ない。 「今回だけだからね!」 「うん」 はぁ、また言っちゃった。「今回だけ」が何回目だろう。 そういえば京ちゃんの意思は聞いてないけど、まぁいっか! そのあと、私は倍の二回分デートしました! カン! 目次に戻る
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冬の寒い日。 わたしは自宅の近くの公園で一人、本を読んでいた。たまに、こうして外で本を読む。寒いけど空気が気持ちよく、気分を入れ替えることができるから。 「あっれー!?そこにいるのは有希っこかい?」 「あ……鶴屋さん」 長い髪の綺麗な女性が立っていた。鶴屋さん、とても明るくてかわいい性格をしていて、少し憧れてしまう。 「なにしてるんだい?こんなに寒い中で読書かい?相変わらずの本の虫っぷりだねぇ!!」 ゆったりとした空気の寒い冬に、ほんのりとあたたかい陽が射したような感じ。鶴屋さんと喋ると世界に明るい色がつくような感覚を覚える。 「一緒に読む?」 わたしは尋ねた。たぶん返ってくる返事はNO。だけど聞いておくのが人間の礼儀。 「いやいや!あたしは遠慮しとくっさ!それより有希っこ、一緒にご飯食べにいかないかい?あたしが奢るからさ!」 わたしは少し考えた。確かに昼食はまだ食べていない。でも、わたしなんかと行って鶴屋さんは楽しいのだろうか? 「……わたしと行って、楽しい?」 鶴屋さんは笑顔を満面に浮かべて答えた。 「あったりまえさぁ!有希っこはかわいいし見てて飽きないさっ!……そだっ!今日はあたしのこと《お姉ちゃん》って呼びなっ!あたし一人娘だから妹が欲しかったのさ!」 お姉ちゃん?わたしが……妹?それもいいかもしれない……。 「お姉……ちゃん」 「よしっ!決まりっさ!じゃあご飯食べにいこっ!」 そういってわたしは《お姉ちゃん》に手をひかれ、店へと連れられて行った。 着いた所はカレー屋だった。……高そうな。 「有希っこはカレーが大好きなんだよねっ?あたしが出したげるからたっぷり食いなっ!にゃはは~、一日姉妹サービスさっ!」 わたしは厚意に甘えることにした。姉妹とは、遠慮などしない気兼ねないものだと本で読んだから。 「ありがとう」 《お姉ちゃん》は笑顔で頷いて店に入り、ごちそうしてくれた。二人で二皿ずつ食べた。……おいしかった、また来よう。 「さてっ!おなかもいっぱいになったし……うちに行こうかっ!」 どんな理屈でそうなるのだろうか。その辺りはよくわからないが、わたし頷いて《お姉ちゃん》の隣りを歩きだした。 「姉妹は仲睦まじく手を繋ぐにょろよっ!」 と言われて、手を繋いだ。冬なのにあったかくて、わたしよりちょこっと大きな手はとても安心できた。 「有希っこの手はやっぱりちめたいねっ!名は体を現すってやつだね、あははは!」 暖かい手と冷たい手。全然似てない二人が今日だけは姉妹というのはなんだか不思議。しばらく手を繋いで歩くと、見たことのある道に。 文化祭で映画を撮ったときに通った道。鶴屋家が近付いてきた。 「ささっ!入った入った!今日は遠慮は無しだよっ!」 言われるままに門をくぐって屋敷の中に入る。いつ見ても大きい家だ。 「ここに連れて来たのはあたしの着物を有希っこに着せたかったのさ!とっても似合いそうなのがあるからねっ!」 ……着物?わたしでも似合うのだろうか?身長も少しわたしの方が小さいから合わないように思うが、言われるままに着せてもらうことにした。興味があったから。 出してもらった着物は、紺を基調とした雪の結晶の模様がちりばめられた物だった。 とても綺麗な着物で、わたしにはもったいないくらいの物だ。 「ほらほらっ!ボーッとしてないで早く服を脱ぐにょろよっ!」 と言われたが、自分から脱ぐ前に脱がされる。部室での朝比奈みくるの気持ちがとてもよくわかる。 そのまま手慣れた様子でわたしは着物を着せられた。 「うわおぅ……こりゃまた予想以上に似合ってるねぇ……。有希っこ!写真撮らせてもらうよっ!」 そのままどこからかカメラを持ってきて、何十枚と写真を撮られた。その時、インターホンが鳴った。 「お姉ちゃん……お客さん」 「いーのさっ!来たらこっちに通すように言ってあるからねっ!」 シャッターを切りながらそう返事をされた。こっちに通すということは知り合いなのだろうか。 「鶴屋さーん、来ましたよ……って、長門ぉ!?」 わたしが見た視線の先には彼と、朝比奈みくるの姿があった。 「ふえぇ……長門さん、綺麗……です」 二人とも表情と態度から驚いているのがわかる。そんなにわたしは変わったのだろうか?鏡を見せられていないから自分ではわからない。 「やぁやぁ!キョンくん、みくる、ここにいるのはあたしの一日妹、有希っこだよっ!」 二人に紹介する必要は無いのに、やけにうれしそうに紹介していた。 「そだっ!みんなで有希っこの写真撮って、誰のが一番よく撮れてるか見せ合いっこするさっ!いいよねっ?」 《お姉ちゃん》がわたしに同意を求めて来たので、頷いて答えた。 しばらくは部屋の中で、三人からいろんなポーズをとらされながら写真を撮られていたが、しばらくすると彼が唐突に口を開いた。 「長門、ちょっと庭に出てくれないか?」 少し疑問に思ったが、わたしは戸を開けた。 雪が降り始めていた。一つ一つが大きく、ゆっくりと舞い降りてくる雪。 わたしは空を眺めながら雪の一つ一つに見とれていた。 不意に聞こえるシャッター音。 「その表情もらったぜ、長門」 彼がわたしにカメラを向けていた。他の二人も同じように再び写真を撮り始めた。 しかし、雪が舞い降りる中では着物だけはとても寒かった。 「お姉ちゃん……寒い」 わたしが《お姉ちゃん》と呼んだことに二人は驚いていた。だけど、気にしない。 「ありゃ~、そっか。ごめんごめん!じゃあ中に戻って暖かいお茶でも淹れるっさ!」 わたし達は中に戻り、お茶を淹れに行った二人をわたしは彼と二人で待った。 「しかし……お前が鶴屋さんのことを《お姉ちゃん》だもんな。焦ったよ」 彼は苦笑いしながらそう言った。 「今日一日は、姉妹」 「そうか、いい姉ちゃんを持ったな。……長門、ほんとに綺麗で似合ってるぞ」 彼が褒めてくれるのが、素直にうれしい。着物を着てよかったと心から思う。 「……ありがとう」 そう言った所で、二人がお茶を持って戻ってきた。 「ありゃりゃ~?二人で見つめあってあやしいね~!キョンくん、有希っこを食べるのはお姉さん許さないにょろよっ!」 とても誤解をしているようだ。後ろから入ってきた朝比奈みくるも何故か顔を赤らめていた。 『やれやれ』という彼の声が聞こえる。いろいろなことが起こるのが今は楽しい。 わたしはしばらく楽しい時間を堪能した。 「それじゃ、そろそろ帰るとしますよ」 彼はそう言った。朝比奈みくるもそれに倣い、帰り仕度を始めている。 わたしはしばらく悩んでいた。 「あれ?長門、早く帰る準備をしろよな」 「……わたしは、お姉ちゃんと一緒に寝る。まだ、帰らない」 初めてできたわたしの《お姉ちゃん》。もっと長く一緒に居たくて、わたしはわがままを言った。 「あたしは別に構わないっさ!有希っこみたいな妹が欲しかったし、残念だけど今日だけだからもっと遊びたいさっ!」 やっぱり優しい反応をしてくれた。彼はわたし達を交互に見て、溜息を一つついて口を開いた。 「……しょうがないな。鶴屋さん、長門をよろしくお願いします。朝比奈さん、帰りましょうか」 彼はわたしの保護者のような口振りでそう言うと、朝比奈みくると二人で雪の降る中を帰って行った。 それからわたしと《お姉ちゃん》は、一緒にお風呂に入り、ご飯を食べて、布団を敷いた。 楽しい時間が早く過ぎるというのを、わたしは初めて体験した。 「有希っこ!一緒の布団で構わないねっ?」 わたしは頷いてそれに答えた。借りてから着ている少し大きめのパジャマを引き摺りながら布団に二人でくるまった。 「おほぉ~!有希っこと二人で布団の中とは珍しいこと極まりないねっ!」 誰かと一緒の布団に入るのはわたしも初めてだった。初めて感じる、人の全身のぬくもりにわたしは心地よさと、やすらぎを感じていた。 「……あったかい。お姉ちゃんの体、落ち着く」 《お姉ちゃん》は、薄く微笑んだ。 「そっかい?……ねぇ、有希っこ。今日だけのお姉ちゃんからの最後のお願いさっ、聞いてくれるかい?」 柔らかい笑顔でわたしに問い掛けてきたのを、わたしは首を縦に振って答えた。 「えっと……有希っこの笑った顔がみたいさっ!ダメかなっ?」 わたしの……笑顔。すぐに笑おうとしたけれど、よくわからなくて引きつってしまった。 「今日は楽しかったかい?」 そう聞かれたので、また縦に首を振って答えた。 「じゃあそれを思いだしながら笑顔を作ると上手く笑えるっさ!」 わたしは少し考えて、頭の中でいろいろなことを思いだした。 一緒にカレーを食べたこと、写真を撮られたこと、お風呂に入ったこと……。 次々に思いだしながらわたしは笑顔を作った。たぶん、上手く笑えたと思う。 「うん!やっぱり笑った顔もかわいかったさ!お姉ちゃんはこれで満足だよっ!」 そう言って、満面の笑みを見せてくれた。 わたしがふと時計に目をやると、たった今、午前0時をまわった。 これでわたしと鶴屋さんの姉妹関係は終了した。わたしは様々なことで楽しませてもらい、最後に自然な笑い方まで教えてくれた鶴屋さんにもう一度笑顔を作って、心からの気持ちを伝えた。 「ありがとう、お姉ちゃん」 おわり
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1/2 【お姉ちゃん】 ふふふ、須賀咲ちゃんです……。 表紙を見て今年の夏は一人勝ち! と思いきや、タイトルが「でもんず」だったことやそもそも出番を他の三人に取られていたことなんて気にしてないもん……。 なんでダークホースの永水のおっぱいさんや末原さんが……ぐぬぬ。 あ、お姉ちゃん? 0と1の間には越えられない壁があるんだよ? 「ふぅ……」 「咲、どうしたの?」 「あ、お姉ちゃん。やっと子供が二人とも寝付いたところなの」 「子供……」 そう、私と京ちゃんの子供。 正直、子供には私と同じような思いはして欲しくないと思ってた。 麻雀で怒られたことや、夫婦別居になった話だとか、今でも怖い。 もし、私と京ちゃんで同じことが----- 「怖い?」 「ひゃぁ!?」 子供が起きるから我慢したけど、小さく悲鳴をあげちゃったよ! お姉ちゃんがいきなり抱きしめてきました。……当たる胸板は間違いなく私の姉。 「大丈夫。京ちゃんも、咲も、いい夫婦だから、ね?」 「おねえ……ちゃん」 子供が怖かった私に京ちゃんは約束してくれた。 絶対に私を一人にしないって、約束してくれた。 お父さんも、お母さんも、お姉ちゃんも、みんな一緒。 この子達は望まれて生まれてきたんだって、胸を張って言えるから。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 2/2 「うん。自信を持って言えるよ。 私の妹はいい嫁さんで、私の義弟はいい旦那さんだって」 「お姉ちゃん……恥ずかしいよ……」 いつも寡黙なお姉ちゃんがたまーに、本当にたまーに! 真面目モードに入るときがある。 そういうときはいつもこうして抱きしめて頭を撫でてくれるんだ。えへへ 「だからたまに京ちゃん貸して」 「えっ」 ……そのあと、こう言うのもいつものことなのだ。 「お姉ちゃん……?」 「別に咲から京ちゃんを取ろうなんて思ってない。 ただたまに貸してくれればいい」 「貸すって、何する気!?」 「今回は、デート一回」 「うっ」 いつもはもっと直接的でエグいことばかり言うくせに……ぐぬぬ…… でもお姉ちゃんも子供達の面倒を見てくれたり……見てくれてたっけ……? ってこともあるし、今回みたいなこともあるし、……仕方ない。 「今回だけだからね!」 「うん」 はぁ、また言っちゃった。「今回だけ」が何回目だろう。 そういえば京ちゃんの意思は聞いてないけど、まぁいっか! そのあと、私は倍の二回分デートしました! カン!
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「うあー、食った食ったぁ」 夕食を食べ終え、カナがごろりと横になる。 そんなカナに、チアキは冷たい視線を向けた。 「後片付けくらいしたらどうだ」 「あー? そんなのは後でいーんだよ。具体的には寝て起きてからで」 「ダメに決まってるだろバカヤロウ。ほら起きろ…」 ぐいっと、チアキがカナを引き起こす。 が、逆にカナに引っ張られ、チアキはカナの上に倒れ込んだ。 「遠慮するな、姉の胸で存分に眠っ」 言葉の途中で放たれたチアキの鉄拳に、カナは言葉を詰まらせる。 「姉の胸で寝るなら、私はハルカ姉様を選ぶよ。 わかったら立てバカヤロウ。立って後片付けを手伝いやがれバカヤロウ」 「…二回は言い過ぎじゃないか?」 「ハルカ姉様、これで最後です」 「ありがとう。そこへ置いといて」 「はいっ」 台所で洗い物をするハルカと、それを嬉しそうに手伝うチアキ。 カナはしばらくその様子を眺めていたが、唐突に二人の間に割って入った。 「私も手伝おう」 「いらん。足手まといだ」 「ほう」 ギラリと、カナの目が鋭く光った。 「二人とも! ケンカするなら台所から出てって!」 リビング。 そこに、しょんぼりと肩を落とした二人の姿があった。 「…お前のせいでハルカ姉様に怒られた」 ぼそりとチアキがつぶやく。もちろんカナは即座に反応し、身を乗り出す。 「私のせいか!? 大体、私が手伝うと言ってるのに拒否したチアキが悪いんじゃないか」 「お前に後片付けなど出来るわけがない」 「ほほう、言うねぇ」 カナの言葉を聞かず、チアキは立ち上がり台所へ。 チアキは冷蔵庫から持ってきた缶のプルタブをあける。 一つしか持っていないのを見て、カナが声をあげた。 「…私の分は?」 「甘えんなバカヤロウ」 「のど渇いたんだけど」 「知るか」 カナとチアキの間に見えない火花が散る。 やがてどれくらいの時間が経ったか-先に動いたのはカナだった。 「あ、聞いてよハルカ。チアキがさぁ」 チアキの背後に向かって声をかける。 まずい。カナがなにを言うかわからないが、 このままではハルカ姉様に誤解されてしまう。 「違うんですハルカ姉様!これはカナが-」 言いつつ振り返るが、そこには誰もいなかった。 しまった、と思ったときにはもう遅い。 衝撃を感じ、慌てて見てみれば、チアキの手から奪ったそれをグビグビと飲み干すカナの姿があった。 「…ップハァ!」 「お前…一気か! 一気に飲んじゃったのか!」 血相を変えて詰め寄るチアキとは対照的に、カナはへらへらとした顔を向ける。 「いやー、これ美味しいねぇ。新商品?」 「そうだよ…しかも他のやつより高かったんだよ…楽しみにしてたのに…」 「…チアキ?」 いつもと違うチアキの様子に、カナは怪訝そうな声をかける。 と、それが合図であったかのように、チアキが爆発した。 「何なんだよお前はいったい何なんだよ! いつもいつも私やハルカ姉様に迷惑ばっかりかけやがって! お前なんかいない方がよかったよこのバカヤロウ!」 ひとしきり叫び、ハァハァと肩で息をする。 カナは何も答えず、ただうつむいているだけで、それがますますチアキの神経を逆なでした。 「何とか言ったら-…!?」 ついにチアキはカナにつかみかかり-そこでチアキの動きが止まった。 カナの目に、大粒の涙が浮かんでいたからだ。 「カナ…お前」 チアキがつぶやいたのと同時に、 カナの目からボロボロと涙がこぼれ落ちる。 カナはまるで子供のように下唇を噛みしめて涙を堪えようとしているが、 それでも涙はどんどん溢れ出てきた。 「ちょっと、なに大声出して…って、どうしたの?」 騒ぎを聞いたハルカがやってくるが、事態の異常さに思わず訪ねる。 「いや、それが私にも何が何やら」 「えぐっ…うえっ…」 「あーほらほら、泣かないの。ね?」 ハルカがカナの涙をハンカチで拭う。 「ありがと、ハルカお姉ちゃん…」 「ハルカ…お姉ちゃん!?」 聞いたこともないカナの言葉に、チアキは目を丸くした。 「そういえば、昔は私のこと『お姉ちゃん』て呼んでたのよね。 いつから呼び捨てになったのかしら」 そこまで言って、テーブルの上にある空き缶に気がつく。 それを持ち上げ、驚きの表情を浮かべた。 「…チアキ、これ…『スパークリングカクテル』ってお酒よ」 「え…」 ということは…今のカナは、酔っているということか。 「チアキー!」 いきなりカナがチアキに抱きつく。 「うおっ!止めろバカヤロウ!」 チアキがカナを引き剥がす。が、カナはなかなか離れようとしない。 「離れろ…」 「やだ! チアキと一緒にいる!」 カナがチアキに抱きついたまま叫ぶ。 その姿は、いつものカナからは考えられないほど必死だった。 「私は…! 勉強も家事も、何もハルカお姉ちゃんに勝てない! だからこうでもしないと、チアキが私に構ってくれないじゃないか!」 「…!」 それを聞いて、チアキは昔のことを思い出した。 昔…チアキが幼稚園の頃は、カナがチアキの面倒をみていた。 チアキもまた、カナを「カナおねーちゃん」と慕っていたのだが… チアキが小学生になった頃から、カナではなくハルカを頼るようになっていった。 尊敬のあまり、ハルカを『姉様』と呼ぶようになったのもこの頃だ。 それが面白くないカナは、ある日ついにチアキにぶつかった。 「チアキがハルカお姉ちゃんをハルカ姉様って呼ぶなら、私もカナ姉様って呼んでよ!」 興奮気味に言うカナに、チアキは涼しい顔でこう返した。 「やだ。だってカナおねーちゃん、何も出来ないし」 幼いゆえの悪意なき言葉。 だが、それはカナの心をえぐるのに十分すぎる威力だった。 「…! だったら…だったら、ハルカお姉ちゃんをハルカって呼び捨てにしてやる!」 これにはムッときたチアキ、売り言葉に買い言葉とばかりに返す。 「だったら、私はカナおねーちゃんをカナって呼ぶからね!」 『ふん!』 ここが、カナとチアキが今の関係になった瞬間だった。 「そう…そう言えばその頃の話よえ」 チアキから話を聞いたハルカが、納得したようにうなずく。 「まあとにかく、カナのことお願いね。私はもう寝るから…」 ふわぁ、と大あくびをして部屋を出て行こうとするハルカを捕まえる。 「なに?」 「ムリです姉様。今カナとふたりきりにされたら間が持ちません」 「この缶カクテル…千秋のよね?」 「う」 「それに、ずいぶんチアキにべったりだけど」 確かに、カナが酔っ払った原因は チアキが間違えて買ってきた缶カクテルだし、カナは相変わらずチアキにべったりくっついたままだ。 痛いところをつかれ、チアキは「…わかりました」と素直にうなずいた。 「それじゃあ、私たちも寝るぞ」 そう言って立ち上がるチアキを、カナはじっと見つめる。 「何だ」 「…一緒に寝てくれる?」 いつもであれば即断るところだが、今日だけは仕方がない。 「ほら、入れよ」 「…お邪魔します…えへ♪」 もそもそと布団に潜り込み、電気を消す。 「…チアキは…私が、キライか?」 いきなりの質問に、チアキは驚いてカナの方に向き直る。 暗闇でその表情は見えない。ただ真剣な声だけが聞こえてくる。 「私は…チアキが好きだ。大事な大事な妹だ」 「でも…私は、ハルカに勝てないから…だから…」 「バカやって、チアキにちょっかい出さないと… チアキは私を見てくれなくなると思って…」 「だから…だがら゛ぁ…」 最後の方は涙声だ。 それをジッと聞いていたチアキは、いきなりカナの顔を掴む。 「ふぇっ!?」 そして、その唇をカナの唇に押し当てた。 「勘違いするな。私だってお前が…カナお姉ちゃんが大好きだ。 バカやってるカナお姉ちゃんが大好きだ」 「だから、あんまり気にするな」 「さっきは…いなくていいなんて言って…ゴメン」 しばしの沈黙。そして、 「zzz...」 「…寝ちゃったのか」 その手から伝わる温もりはとても暖かく、 その温もりを感じながらチアキも眠りに落ちた。 「おっはよーう!」 「ぐえっ」 いきなり押しつぶされ、チアキは妙な声を上げる。 なんとか抜け出して見てみれば、笑顔のカナがそこにいた。 「…お前は朝から何してんだ」 「いや、昨日の記憶がさっぱり無くてさぁ。 私なんかしたのか?なんでチアキと一緒に寝てたんだ?」 睨みつけるチアキに、カナはあっけらかんと言い放つ。 そんなカナを見て、チアキは大きなため息をついた。 「あーっ!なんだそれ、どういう意味だ!」 「もういいよ、ほら早く着替えて飯にするぞ」 呆れ顔を浮かべつつ、私たちはやはりこれでいいとチアキは感じていた。 -これからもよろしく、カナお姉ちゃん。 おしまい これはいい姉妹 -- 名無しさん (2009-03-01 11 35 29) 2人の意外な一面に 感動した!!!!!! -- 尺取り虫 (2009-03-04 21 40 18)
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冬の寒い日。 わたしは自宅の近くの公園で一人、本を読んでいた。たまに、こうして外で本を読む。寒いけど空気が気持ちよく、気分を入れ替えることができるから。 「あっれー!?そこにいるのは有希っこかい?」 「あ……鶴屋さん」 長い髪の綺麗な女性が立っていた。鶴屋さん、とても明るくてかわいい性格をしていて、少し憧れてしまう。 「なにしてるんだい?こんなに寒い中で読書かい?相変わらずの本の虫っぷりだねぇ!!」 ゆったりとした空気の寒い冬に、ほんのりとあたたかい陽が射したような感じ。鶴屋さんと喋ると世界に明るい色がつくような感覚を覚える。 「一緒に読む?」 わたしは尋ねた。たぶん返ってくる返事はNO。だけど聞いておくのが人間の礼儀。 「いやいや!あたしは遠慮しとくっさ!それより有希っこ、一緒にご飯食べにいかないかい?あたしが奢るからさ!」 わたしは少し考えた。確かに昼食はまだ食べていない。でも、わたしなんかと行って鶴屋さんは楽しいのだろうか? 「……わたしと行って、楽しい?」 鶴屋さんは笑顔を満面に浮かべて答えた。 「あったりまえさぁ!有希っこはかわいいし見てて飽きないさっ!……そだっ!今日はあたしのこと《お姉ちゃん》って呼びなっ!あたし一人娘だから妹が欲しかったのさ!」 お姉ちゃん?わたしが……妹?それもいいかもしれない……。 「お姉……ちゃん」 「よしっ!決まりっさ!じゃあご飯食べにいこっ!」 そういってわたしは《お姉ちゃん》に手をひかれ、店へと連れられて行った。 着いた所はカレー屋だった。……高そうな。 「有希っこはカレーが大好きなんだよねっ?あたしが出したげるからたっぷり食いなっ!にゃはは~、一日姉妹サービスさっ!」 わたしは厚意に甘えることにした。姉妹とは、遠慮などしない気兼ねないものだと本で読んだから。 「ありがとう」 《お姉ちゃん》は笑顔で頷いて店に入り、ごちそうしてくれた。二人で二皿ずつ食べた。……おいしかった、また来よう。 「さてっ!おなかもいっぱいになったし……うちに行こうかっ!」 どんな理屈でそうなるのだろうか。その辺りはよくわからないが、わたし頷いて《お姉ちゃん》の隣りを歩きだした。 「姉妹は仲睦まじく手を繋ぐにょろよっ!」 と言われて、手を繋いだ。冬なのにあったかくて、わたしよりちょこっと大きな手はとても安心できた。 「有希っこの手はやっぱりちめたいねっ!名は体を現すってやつだね、あははは!」 暖かい手と冷たい手。全然似てない二人が今日だけは姉妹というのはなんだか不思議。しばらく手を繋いで歩くと、見たことのある道に。 文化祭で映画を撮ったときに通った道。鶴屋家が近付いてきた。 「ささっ!入った入った!今日は遠慮は無しだよっ!」 言われるままに門をくぐって屋敷の中に入る。いつ見ても大きい家だ。 「ここに連れて来たのはあたしの着物を有希っこに着せたかったのさ!とっても似合いそうなのがあるからねっ!」 ……着物?わたしでも似合うのだろうか?身長も少しわたしの方が小さいから合わないように思うが、言われるままに着せてもらうことにした。興味があったから。 出してもらった着物は、紺を基調とした雪の結晶の模様がちりばめられた物だった。 とても綺麗な着物で、わたしにはもったいないくらいの物だ。 「ほらほらっ!ボーッとしてないで早く服を脱ぐにょろよっ!」 と言われたが、自分から脱ぐ前に脱がされる。部室での朝比奈みくるの気持ちがとてもよくわかる。 そのまま手慣れた様子でわたしは着物を着せられた。 「うわおぅ……こりゃまた予想以上に似合ってるねぇ……。有希っこ!写真撮らせてもらうよっ!」 そのままどこからかカメラを持ってきて、何十枚と写真を撮られた。その時、インターホンが鳴った。 「お姉ちゃん……お客さん」 「いーのさっ!来たらこっちに通すように言ってあるからねっ!」 シャッターを切りながらそう返事をされた。こっちに通すということは知り合いなのだろうか。 「鶴屋さーん、来ましたよ……って、長門ぉ!?」 わたしが見た視線の先には彼と、朝比奈みくるの姿があった。 「ふえぇ……長門さん、綺麗……です」 二人とも表情と態度から驚いているのがわかる。そんなにわたしは変わったのだろうか?鏡を見せられていないから自分ではわからない。 「やぁやぁ!キョンくん、みくる、ここにいるのはあたしの一日妹、有希っこだよっ!」 二人に紹介する必要は無いのに、やけにうれしそうに紹介していた。 「そだっ!みんなで有希っこの写真撮って、誰のが一番よく撮れてるか見せ合いっこするさっ!いいよねっ?」 《お姉ちゃん》がわたしに同意を求めて来たので、頷いて答えた。 しばらくは部屋の中で、三人からいろんなポーズをとらされながら写真を撮られていたが、しばらくすると彼が唐突に口を開いた。 「長門、ちょっと庭に出てくれないか?」 少し疑問に思ったが、わたしは戸を開けた。 雪が降り始めていた。一つ一つが大きく、ゆっくりと舞い降りてくる雪。 わたしは空を眺めながら雪の一つ一つに見とれていた。 不意に聞こえるシャッター音。 「その表情もらったぜ、長門」 彼がわたしにカメラを向けていた。他の二人も同じように再び写真を撮り始めた。 しかし、雪が舞い降りる中では着物だけはとても寒かった。 「お姉ちゃん……寒い」 わたしが《お姉ちゃん》と呼んだことに二人は驚いていた。だけど、気にしない。 「ありゃ~、そっか。ごめんごめん!じゃあ中に戻って暖かいお茶でも淹れるっさ!」 わたし達は中に戻り、お茶を淹れに行った二人をわたしは彼と二人で待った。 「しかし……お前が鶴屋さんのことを《お姉ちゃん》だもんな。焦ったよ」 彼は苦笑いしながらそう言った。 「今日一日は、姉妹」 「そうか、いい姉ちゃんを持ったな。……長門、ほんとに綺麗で似合ってるぞ」 彼が褒めてくれるのが、素直にうれしい。着物を着てよかったと心から思う。 「……ありがとう」 そう言った所で、二人がお茶を持って戻ってきた。 「ありゃりゃ~?二人で見つめあってあやしいね~!キョンくん、有希っこを食べるのはお姉さん許さないにょろよっ!」 とても誤解をしているようだ。後ろから入ってきた朝比奈みくるも何故か顔を赤らめていた。 『やれやれ』という彼の声が聞こえる。いろいろなことが起こるのが今は楽しい。 わたしはしばらく楽しい時間を堪能した。 「それじゃ、そろそろ帰るとしますよ」 彼はそう言った。朝比奈みくるもそれに倣い、帰り仕度を始めている。 わたしはしばらく悩んでいた。 「あれ?長門、早く帰る準備をしろよな」 「……わたしは、お姉ちゃんと一緒に寝る。まだ、帰らない」 初めてできたわたしの《お姉ちゃん》。もっと長く一緒に居たくて、わたしはわがままを言った。 「あたしは別に構わないっさ!有希っこみたいな妹が欲しかったし、残念だけど今日だけだからもっと遊びたいさっ!」 やっぱり優しい反応をしてくれた。彼はわたし達を交互に見て、溜息を一つついて口を開いた。 「……しょうがないな。鶴屋さん、長門をよろしくお願いします。朝比奈さん、帰りましょうか」 彼はわたしの保護者のような口振りでそう言うと、朝比奈みくると二人で雪の降る中を帰って行った。 それからわたしと《お姉ちゃん》は、一緒にお風呂に入り、ご飯を食べて、布団を敷いた。 楽しい時間が早く過ぎるというのを、わたしは初めて体験した。 「有希っこ!一緒の布団で構わないねっ?」 わたしは頷いてそれに答えた。借りてから着ている少し大きめのパジャマを引き摺りながら布団に二人でくるまった。 「おほぉ~!有希っこと二人で布団の中とは珍しいこと極まりないねっ!」 誰かと一緒の布団に入るのはわたしも初めてだった。初めて感じる、人の全身のぬくもりにわたしは心地よさと、やすらぎを感じていた。 「……あったかい。お姉ちゃんの体、落ち着く」 《お姉ちゃん》は、薄く微笑んだ。 「そっかい?……ねぇ、有希っこ。今日だけのお姉ちゃんからの最後のお願いさっ、聞いてくれるかい?」 柔らかい笑顔でわたしに問い掛けてきたのを、わたしは首を縦に振って答えた。 「えっと……有希っこの笑った顔がみたいさっ!ダメかなっ?」 わたしの……笑顔。すぐに笑おうとしたけれど、よくわからなくて引きつってしまった。 「今日は楽しかったかい?」 そう聞かれたので、また縦に首を振って答えた。 「じゃあそれを思いだしながら笑顔を作ると上手く笑えるっさ!」 わたしは少し考えて、頭の中でいろいろなことを思いだした。 一緒にカレーを食べたこと、写真を撮られたこと、お風呂に入ったこと……。 次々に思いだしながらわたしは笑顔を作った。たぶん、上手く笑えたと思う。 「うん!やっぱり笑った顔もかわいかったさ!お姉ちゃんはこれで満足だよっ!」 そう言って、満面の笑みを見せてくれた。 わたしがふと時計に目をやると、たった今、午前0時をまわった。 これでわたしと鶴屋さんの姉妹関係は終了した。わたしは様々なことで楽しませてもらい、最後に自然な笑い方まで教えてくれた鶴屋さんにもう一度笑顔を作って、心からの気持ちを伝えた。 「ありがとう、お姉ちゃん」 おわり
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─家 唯(ふ~あぶないあぶない) 唯(材料は買ってきたから、これでどうにかなるはず!) 憂「ただいまー」 唯(うっ……早いな、憂め) 唯「おかえりー!」 憂「おね、唯、それどうしたの!?」 唯(……まぁバレちゃうのはしょうがないよね) 唯「お夕飯の材料だよ~」 憂「えっ、おねえ、唯が作るの?」 唯「そうだよ!任せてっ!」 憂「大丈夫?」 唯「大丈夫だよ~…心配性なんだから憂は」 憂「うん……」 唯「っと、その前におうちをお掃除します!」 憂「私も手伝うよ!」 唯「いーや!憂はゴロゴロでもしてて!」(手柄は私1人のものにしないと) 憂「そ、そお?」 唯「うん!大船で酔ったつもりで待ってて!」 憂「大船に乗ったつもりで……」 唯「そう!それ!」 唯(……というわけで、お掃除を始めようと思ったら) ピカピカ ピカピカ 唯(すでに綺麗……) 唯(くそぅ、憂め、日頃から私の手柄を奪っていたとは) 憂「……そういえばいつか窓拭かないとなぁ…あはは」 唯(なんと!) 唯「今、なんて!?」 憂「ま」唯「あ!!そうだ!窓拭きやろう!」 唯「あ、憂、さっきは?」 憂「ううん、なんでもないよ♪」 憂(ふふ、聞こえなくても気付いたお姉ちゃんさすが) 唯(よしっ!聞こえないフリもしたし、バレてなければ完璧に私の手柄!) ─ 唯(この泡の出るスプレー面白い!) プシュー 唯(ふふ…) トントン! 唯「うい~」 憂「なぁに、ゆね、唯」(お姉ちゃん外にいるけど、どうしたのかな) 唯「じゃーん!しろひげっ」 憂「わぁ!」 唯「ほら~サンタさんだよぉ」 憂「かわいい~♪」 唯(……くそ、憂を笑わせられなかった) 憂(お姉ちゃんかわいいなぁ~♪) 唯(でもなんか喜んでくれてるし、いいや) ─しばらくして 唯「…」フキフキ 憂(お姉ちゃん真剣にやってるけど……そろそろ終わりでいいんじゃ) 憂「唯」 唯「…」フキフキ 憂(…私が言わない方がいいかな) 唯「…」フキフキ 憂(真剣なお姉ちゃんもかわいいなぁ)ウットリ ─ちょっとして 唯「…終わったぁ!」 憂「お疲れさま!!お、唯!」 唯「いや~……どお!?」 キラキラ ピカピカ 憂「すごいよ!!窓輝いてるし!」 唯「へへ……すご……」 憂「…おね、唯?」 唯「……は……ふぁ……」 憂「唯!?だいじょ」唯「ふぁっくしょいっ!!」ズズ ベチャッ 唯「んっと……えへへ」(自分の手で良かったぁ) 憂「大丈夫~?風邪引いちゃったのかな……」 唯「へーきへーき!」 唯(いやぁ~はっはっは、我ながら最高の窓拭きだったね!) 憂(お姉ちゃんの集中力すごいなぁ……さすがお姉ちゃん) 唯「んよし、次はお夕飯つくるよ!」 憂「うん……何か手伝えることはあるかな」 唯「大丈夫大丈夫!憂は見てるだけでいいよ!」 憂「そう?」 唯「うん!これ見たから大体分かるし!」 憂「『とってもごちそう』…それ私が読んでた」 唯「そうだよ!お借りしましたっ」 憂「うん!もちろんいいよ♪」 唯「ん~……」(なんか物足りない気が) 憂「お唯、なんか手伝うよ?」(お姉ちゃん浮かない顔してる……) 唯「大丈夫!あ、でもおトイレ行ってくる、お鍋かき混ぜといて」タタッ 憂「うん!」 憂(ちょっと味見……)ペロ 憂(おいしい……!お姉ちゃんはやっぱりやればできる人だよねぇ) 憂(でもこれをちょっと足したらもっとおいしく……)ササッ 唯「あ、憂、ありがと」 憂「全然いいよ~」 唯「待っててね~……おいしいのができるよぉ」 憂「うんっ!」 唯「味見しよっと」ペロ 唯(ふふ、よくなってきてるねぇ) 憂(楽しみだなぁ~お姉ちゃんのお料理食べるの) コトコト 唯「ねえ、うい」 憂「なぁに?お、唯」 唯「憂はいつもなに考えながらお料理してる?」 憂「う~ん……特にこれといって考え事は」 唯「そうなの?」 憂「特に考えごとをしてすることは無いけど……唯は?」 唯「私はどうしたら美味しくなるかなーとか、美味しくなりますようにって願ってたよ」 憂「あ…」(私もそれは思ってるけど……なんかお姉ちゃんに気付かれされたかも) 憂(やっぱりなんでも心を込めて作ることが大切だよね、うんうん) 唯「うい?」 憂「ううん、私もいつも、おいしくなりますようにって!」 唯「えへへ……同じだね」 憂「うんっ」 唯「もうすぐできるよ~」 憂(やっぱりお姉ちゃんはお姉ちゃんだな~) 唯(…これを食べたら多分憂は喜んでくれるハズ) 唯(そして、私が真のお姉ちゃんだということを憂に思い知らせてあげよう) ─ちょっとして 唯「できたよー!ちょっと待ってね」 憂「うんっ!」 唯「よし……んしょ」 憂「あぁぁ……おね唯、私が運ぶよ」 唯「ううん、憂は座ってて」 憂「でも…」 唯「私に任せなさいっ!……わぁ!」 憂「わ!」 唯「…なんちゃって~」 憂「……もお~お唯ちゃ、唯ったら」 唯「えへへ……余興だよぉ」(本当にこぼすところだった……) 唯「……というわけで用意が出来ましたっ。憂さm……お姉さま」(そういえばお姉ちゃんって呼ぶの忘れてた) 憂「ふふっ、ありがとう唯」 唯「さあ召し上がれ!」 憂「いただきます」 唯「めしあがれ…」じーっ 憂「…」(お姉ちゃん近い……) 唯「…」じーっ 唯(私の作品は……さぁ、どうでる!?憂!!) 憂「えへへ……頂きます」 唯「うんうん」じーっ パク 憂「うんうんうん……」モグモグ 唯「…」ドキドキ 唯(さあこいっ、憂!!こいっ!!きてっ!!) 憂「わぁ……」 唯「…どお?」ゴクリ 憂「お姉ちゃ」唯「唯 でいいよ」憂「唯、」 憂「……すっっごく、おいしいよ!!」 唯「ふおおおおおおお!!」 憂「今まで食べた中で一番おいしいかも!」 唯「ほんと!?」 憂「うんっ!ほんとだよ!」 憂(お姉ちゃんが作ってくれたんだからマズイわけ無いよ!) ─食べ終わって 唯「ふー」 憂「おいしかった~」 唯「また今度作るよ」 憂「えっ…ありがとうお姉ちゃん」唯「唯でいいよ」 憂「いや……お姉ちゃん、やっぱりお姉ちゃんだよ」 唯「!」(きたかっ!?) 唯「でも……」(もっともっと!!) 憂「私はお姉ちゃんの妹で、お姉ちゃんがお姉ちゃん」 憂「私はやっぱりそれが一番いいと思うなぁ。お姉ちゃんはやっぱりお姉ちゃんだから!」 唯「憂……」(なんか足りない…) 唯「でもでも、やっぱり私はお姉ちゃんの 資格 が……」(あるよね!) 憂「お姉ちゃんには資格も何もいらないよ。お姉ちゃんだからお姉ちゃん。私はそんなお姉ちゃんが大好き……なんて」 唯「えっ……憂……」(そんなぁ……) 憂「えへへ~……」 唯「資格は無いけどとりあえず私がお姉ちゃん……」 憂「ううん!資格があるよ!お姉ちゃんはお姉ちゃんだよ!」 唯「だよねっ!!?」 憂「えっ……うんうん!あるよ資格!」 憂「お姉ちゃんのお料理すっごくおいしかったし、窓拭きも凄かったもん!」 唯「うっ…っ…ういうい~えらいえらいうい~」グス 憂「えへへ……」 憂(勢い余って凄いこと言っちゃったかも……聞こえてたかな) 唯(やっぱり私がお姉ちゃんだよね!うんうん!それに憂は私のこと好きって言ってくれたし!) 憂「お姉ちゃん♪」 唯「どうしたの?うい」 憂「ううん♪お姉ちゃんはやっぱりお姉ちゃんだね~」 唯「?」 憂(やっぱりお姉ちゃんはお姉ちゃんって呼ぶのが一番しっくりくるなぁ) ─翌朝 ピピッ 憂(朝だ……)ぬくっ カチャン! 憂(二階から?何か落ちたのかな……) バンッ! 「わぁ!」 憂(お姉ちゃん!?) ─キッチン 唯「あ、憂、おはよー!」 憂「お姉ちゃん!?こんな早起きして…」 唯「私と憂のお弁当作ってるんだよ~」 憂「お姉ちゃん……」 唯「えへんっ」 憂「えらい!……けどエプロン変だよ~」くいっ 唯「あっ……えへへ」 憂「ふふ♪……今日のお弁当もすごいね~」 唯「でしょお!」 憂(なんかお姉ちゃんが急にお姉ちゃんらしくなって、嬉しいような寂しいような) ─朝、通学路 唯「私はお姉ちゃんだからね、憂の前にいないとダメなんだよ」 憂「お姉ちゃん……」 唯「だからね、憂、お姉ちゃんをもっと頼りなさい!」 憂「う、うん…」 唯「結構頼りになるよ~ふふふ」 憂「うんっ!それは分かってるよ」 唯「えへへ~…」 「唯!!」 唯「あ!和ちゃん!」 ─お姉ちゃんはもうすぐ受験を迎えます 和「おはよ」 唯「おはよー!」 憂「おはよー和ちゃん!」 ─お姉ちゃんとは同じ大学に進む予定だけど 唯「和ちゃん、今日のお弁当もまた私が作ったんだよ!」 和「へぇー、すごいじゃない」 唯「あれ……なんか反応薄くない?」 ─お姉ちゃんと一緒に過ごせる貴重な時間を 和「そう?だって、普段から自分で作るのってそんなに……」 唯「ま、まあ、確かに。でもね、すごいんだよ!」 和「すごいのは見たわよ、昨日」 唯「あ、そうだよね~」 ─これからも大切にしたいと思います♪ 唯「憂?行くよー!!早く早く~」 憂「うんっ!!」 おわり♪ 戻る